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トリニティスタディ(Trinity Study)と「4%ルール」

トリニティスタディとは、リタイア後の資産取り崩しについて書かれた1998年の論文のことで、著者がトリニティ大学の3人の教授なのでこの名で呼ばれています。

トリニティスタディの目的は、退職後の資産の安全な引出し率を求めることにありました。下記のような前提で資産取り崩しのシミュレーションを行っています。

  • 初期の資産額を基準として毎年3%~12%の定額取り崩しを行う。
  • 期間としては、15年、20年、25年、30年を考える。
  • 資産は株式と債券のポートフォリオで、株式と債券の割合について100/0、75/25、50/50、25/75、0/100の5パターンを考える。なお債券としては長期高格付社債を、株式としてはS&P500インデックスを選択。
  • 手数料や税金は無視する。
  • 株式、債券のパフォーマンスについては、過去(1926-1995年)の実績値を用いる。例えば30年について調べるときは1926-1955, 1927-1956, ... , 1966-1995の41通りについてシミュレーションを行う。
  • インフレ率を加味しない場合と加味した場合の両方について計算を行う。

そして、最初の資産額の4%に当たる金額をインフレ率を加味しながら30年間取り崩した場合、50/50のポートフォリオでは、95%の確率で資産が枯渇しないという結果が示されました。すなわち、4%の取り崩しであれば、65歳から取り崩した場合、95歳まで枯渇しない確率が95%と高く、ほぼ大丈夫だろうということで、「4%ルール」と呼ばれるようになりました。

上記からわかるように、これはアメリカ人がドル建ての株式とドル建ての社債を資産として持った場合のシミュレーションであり、我々日本人が、現金(日本円)とオルカンで資産を組み立てている場合にそのまま適用はできないと思います。また、過去の実績値を用いていますが、例えば30年の場合、1926-1955のデータと1927-1956のデータはほぼ同じであり、41通りについて計算したとしても、似通ったデータが多いのも少し問題かなと思います。さらに、30年で65歳~95歳までというのも少し短い気がします。95歳を過ぎてもなお元気なお年寄はたくさんいますからね。

このあたりを考慮して、より日本人向き・現代人向きのシミュレーションができればいいなと考えています。