リバランスの目的はリターンを増やすことではない
面白い記事の紹介
リバランスとリターンの関係について書かれた興味深い記事を発見したので紹介します。
タイトルは、"When Rebalancing Creates Higher Returns - and When It Doesn't"です。適当に訳すと「リバランスが高いリターンを生み出すのはどういうときで、そうでないのはどういときか?」みたいな感じです。
記事では、まずリバランスが効果的な場合として次の2点を挙げています。
- もし2つの資産が長期で同じトータルリターンとなるのであれば、リバランスは必ず効果がある(利益が増える)。
- 2つの資産のリターン(短期)が大きく異なっている方がリバランスによる効果が大きい。
そして、米株とキャッシュ、米株と米債券、米グロース株と米バリュー株などのいろいろな資産の50%ずつの組み合わせに対して、2015年から2024年の実際のデータを用いて、毎年1月にリバランスをした時と全くリバランスをしなかった時のリターンを比較しています。その結果、米グロース株と米バリュー株ではリバランスをした時の方がしない時より年率44%増のリターンが得られましたが、米株とキャッシュではリバランスをした時の方がしないときに比べて年率83%減のリターンであり、米株と米債券でも105%減という結果になりました。 高いリターンが出る資産からキャッシュや債券といったリターンの少ない資産へのリバランスは常に利益を失う結果が得られました。
株のような資産とキャッシュのようなほとんどリターンのない資産との間のリバランスは必ずしも効果的ではないが、リバランスをしないとリスク資産の割合が大きくなりリスクが増大することになるので、リバランスをすることが間違いであるとはいえないとしています。 結局、これはリスクとリターンのトレードオフの問題であると結論付けています。
染太郎の見解
よくリバランスをすると資産が割安の時に仕込めるので、その後の資産の値上がりによってリターンが大きくなるといった説明がなされます。しかし上述の記事にあるように、現金と株式だけで資産を持つ場合は、リバランスによってリターンは減少する可能性が大きいようです。確かに株は上下動はあるものの右肩上がりで高くなる傾向にあるので、リバランスでは、現金で株を買うケースよりも、株を売って現金化するケースが多くなり、資産増大を妨げるというのはなんとなく理解できます。そういえば、取り崩しのシミュレーションを行ったときも同様な傾向が見られました。
しかし、リバランスには資産全体のリスクを一定に保つ効果があります。リバランスは、リターンを増やすために行うのではなくて、リスクを一定に保つために行う行為であるということがよくわかりました。
リターンのことだけを考えれば株式にフルインベストメントが一番リターンが大きくなる確率が高いんでしょうが、染太郎はそこまでリスク許容度が高くないので、やはりリスク資産の割合も50~60%程度に抑えて、リバランスを行ってリスクをコントロールしながら投資するのが良いのかなと今は考えています。